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ファイル交換ソフトとは

ファイル交換ソフト(WinMX, Winny, Napster, Gnutella,KaZaA, iMesh)は,情報を入手する目的で利用しようとするケースが見受けられますが,これらのソフトはファイルの入手機能と提供機能が融合しており,入手を目的とした操作であっても,入手した情報が不特定多数に提供されます。このような状態では以下のような危険があります。

Q.ネットワーク上に音楽や市販ソフトウエアを誰でもコピーできる状況にすると?

A.著作権法違反(公衆送信権と公衆送信可能化権侵害)となります。

「公衆送信」とは無線,有線,通信,放送を問わず,公衆に向けて行うすべての送信行為をいう。インターネットを通じて著作物のコピーを公衆に向けて送信する行為も,この著作権者の「公衆送信権」を侵害する事になる。 「公衆送信可能化」とは著作物のコピーを公衆送信が可能な状態におく事を言う。 利用者がいつでも著作物をダウンロードできる状態に置くだけで,著作権者の「公衆送信可能化権」を侵害する事になる。公衆送信の前段階である「公衆送信が可能な状態」を摘発可能とするために認められた。ダウンロードつまり違法な著作物の頒布が確認しなくても,ホームページの内容だけで逮捕を可能にしたのが,この「公衆通信可能化権」である。 私的利用の範囲内で著作物を利用する事は許されますが(著作権法第30条),無断で複製した著作物をインターネット上で送信し,また送信可能な状態に置いた行為です。 いずれも3年以下の懲役か300万円以下の罰金が科せられる犯罪です(著作権法第119条)
また,ホームページの開設者がサーバーにアップロードする行為自体も,私的利用の範囲を超えており,著作権者の複製権を侵害する犯罪にあたる(同法第21条,96条,119条)。

関連事例

著作権法違反(公衆送信権と公衆送信可能権侵害)の容疑で家宅捜索(1999年5月27日)

違法なMP3ソフト(無料配布・自由にダウンロードできる状態)が初めて摘発されたのは,99年5月。愛知県警が,5月26日までに,札幌市に住む会社員の少年(18)宅を,著作権法違反(公衆送信権と公衆送信可能権侵害)の容疑で家宅捜索を行った。少年は,MP3を使い,B'zや宇多田ヒカルなどの人気CDを無断で複製し,インターネットのホームページにのせていました。(この前日に朝日新聞の1面トップの扱いで,警視庁の摘発強化の動きを伝えていた。同紙によると,悪質な著作権違反のケースは積極的に権利者に告訴をするよう働きかけるとともに,各都道府県警にも摘発強化の指示が出されたとのことです。)

著作権者に無断で,音楽を不特定のインターネットユーザーに送信し得る状態(送信可能化)に置いた著作権侵害行為(2002年3月26日)

コンピュータソフトウェア著作権協会,(社)日本音楽著作権協会,(社)日本レコード協会は26日,京都府警ハイテク犯罪対策室,山科署,五条署が2001年11月28日に著作権侵害(公衆送信権の侵害)の容疑で逮捕された専門学校生(20歳)に対して,京都簡易裁判所が罰金40万円の略式命令を下したと発表した。これは"ファイル交換ソフト"を使って,著作権者に無断で,ビジネスソフトや市販のCDから作成したMP3形式の音楽を,不特定のインターネットユーザーに送信し得る状態(送信可能化)に置いた著作権侵害行為に対するもの。

著作権者に無断でビジネスソフトなどを不特定のインターネットユーザーが利用できる状態にした(2003年11月27日)

(社)コンピュータソフトウェア著作権協会は28日,インターネット経由でユーザー同士がパソコンのデータを共有できる"ファイル交換ソフト"を利用して,著作権者に無断でビジネスソフトなどを不特定のインターネットユーザーが利用できる状態にしたとして,東京都杉並区の大学生Aと埼玉県さいたま市の専門学校生Bが刑事摘発されたと発表した。京都府警ハイテク犯罪対策室と山科署,五条署が家宅捜索を行ない,2人を逮捕したという。Aは,自宅のパソコンにインストールしたファイル交換ソフト「WinMX」を利用してアドビシステムズのフォトレタッチソフト「Adobe Photoshop 6.0 日本語版」,ジャストシステムのワープロソフト「一太郎」,マイクロソフトのアプリケーション開発ソフト「Microsoft Visual C++ for Windows Version 6.0 Standard Edition」などを不特定のインターネットユーザーが利用できるようにしたほか,ユーザーネームを頻繁に変更していたとしている。これにより著作権者の公衆送信権(送信可能化権)を侵害した疑いが持たれているという。Bも同様に「Adobe Photoshop 6.0 日本語版」などのビジネスソフトやMP3型式の音楽ファイルをインターネットユーザーが利用できるようにしていた。

参考資料

  • 「MP3」の衝撃 初出:ビジネス実務法務(中央経済者)2001,1月号56項
  • ASCII24
  • 三省堂 模範六法 平成15年度版より
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